環境の限界サイン セルフチェック|体・気持ち・勤務・構造の4方向から見る
「職場の居心地が悪い」その原因、確かめてみませんか
「仕事終わり、周りに気を遣って疲れてるな。なんとなく職場にあまりいたくない。」
「トイレに行くときや休憩の一人時間にホッとする。」
そんな経験ありませんか?
「でもそう思うのは私の思い込みだよね。まだ大丈夫」
そんな一言で再び疲れる毎日に戻っていく。
そう感じている方にこそ、一度立ち止まって「今の職場、疲れる原因は何だろう?」ということを考えてほしいです。
環境による消耗は、じわじわと進みます。
毎日少しずつ削られていくと、削られる前の自分を忘れてしまう。今のこの状態が「普通」になって、比べる基準そのものがなくなる。だから頭で考えても、「まだ大丈夫」という答えしか出てきません。
そこで私は、4つの方向から「消耗の原因」を突き止めるため、チェックリストを作りました。
体・気持ち・勤務の状況・職場の構造の4つです。前の2つは「自分に出ている変化」、後ろの2つは「職場の側の状況」。両方を並べて見ると、しんどさがどこから来ているのかが立体的に見えてきます。
先にお伝えしておくと、「何個当てはまったから危険」という数え方はしません。
このチェックの目的は、あなたの状態を採点することではなく、次にどこへ進めばいいかを示すことだからです。見るのは数ではなく、どの方向にサインが出ているか。それだけです。
自分自身の心の状態を確かめたい人は、心の章のセルフチェックも用意しています→(あなたの心、削れていませんか?医療従事者が見逃しがちな10のサイン【WHO・厚労省の定義に基づくセルフチェック】|かる~くブログ)
このチェックの使い方
- 下のチェックリストで、当てはまるものにチェックを入れてください。全部で20項目、2〜3分で終わります
- チェックを入れると、4方向のグラフが変化します。伸びている方向が、いまサインの出ている場所です
- グラフの下に、その方向に応じた次の一歩が表示されます
3つだけ、先にお伝えしておきます。
1.点数は出ません。このチェックは、あなたの状態を採点するものではないからです。「何個以上で危険」といった基準も設けていません。見てほしいのは、数ではなく形です。
2.答えは残りません。入力した内容がどこかに保存されることはなく、ページを閉じれば消えます。スマートフォンで見ている方は、結果を残したい場合はスクリーンショットを撮ってください。
3.迷ったらチェックを入れてください。「これくらい普通かも」と思う項目こそ、比べる基準が下がっているサインかもしれません。判断に迷ったものは、つけておいて大丈夫です。
では、以下よりまずはチェックを始めてみましょう。
4つの方向から、サインを見る
チェックを入れながら読み進めてください。当てはまるものだけで大丈夫です。
①体に出ているサイン
- □寝つけない、または夜中に目が覚める日が増えた
- □休日にしっかり寝ても、疲れが抜けきらない
- □食欲が以前と変わったと感じる
- □頭痛や肩こり、胃の不快感など、体の不調が続いている
- □職場から離れると、ふっと体が軽くなる
体は、言葉より先に反応します。特に最後の項目——職場から離れると体が軽くなるというのは、不調の原因が自分の内側ではなく、環境の側にあることを示す分かりやすいサインです。
②気持ちに出ているサイン
- □休みが終わりに近づくと、胸のあたりが重くなる
- □休みの日でも、仕事のことが頭から離れない
- □「こうすれば良くなるのに」という改善案が、もう浮かばなくなった
- □仕事中、時計を見る回数が以前より明らかに増えた
- □患者さんに向き合う余力が残っていないと感じる瞬間がある
3つ目の「改善案が浮かばなくなった」は、見落とされやすい項目です。文句が減ったのは慣れたからではなく、期待するのをやめたからということがあります。
③勤務の状況
- □時間外の業務や持ち帰りの仕事が、常態になっている
- □休憩を取れない日が多い
- □勤務が終わってから次の勤務まで、十分に休めていない
- □担当や業務量が、自分の余力に対して多い状態が続いている
- □休みを希望どおりに取れていない
ここは気持ちを聞いていません。事実だけを並べています。「自分が弱いのかも」と疑う余地がない項目にしてあるので、正直につけてみてください。
④職場の構造
- □自分の裁量で決められる範囲が、ほとんどない
- □困ったときに相談できる相手や仕組みが、職場にない
- □意見を伝える経路がない、または伝えても反映されない
- □何年も同じ問題が、同じまま残り続けている
- □この職場で働き続けた数年後の自分を想像しても、何も浮かばない
以前お伝えした3つの言葉——誰が決めているか、伝える経路はあるか、変わった前例はあるか——を、そのままチェック項目にしたのがこの軸です。(詳しくはこちら→辞めたいのは甘えじゃない|医療従事者が消耗する「環境要因」の正体と見分け方|かる~くブログ)
個人の工夫では動かせない領域を測っています。
グラフの形で読む
チェックが終わったら、どの方向が伸びているかを見てください。読み方は4つです。
①②(体・気持ち)が大きいとき
環境の話をする前に、休んでください。
これはこの記事でいちばん伝えたいことです。体と気持ちにサインが出ているとき、あなたの判断力は落ちています。落ちた状態で環境を選ぶと、選択肢を比べることも、条件を断ることもできません。「追い詰められての転職」に近づいてしまいます。(詳しくはこちらから→転職を“選ぶ”という考え方|次の職場を見極める3つの問いと、動く前に整えるもの|かる~くブログ)
まずは体を整えることから(→「医療者はなぜ“まず体から”整えるべきなのか」|かる~くブログ)、そして心を守ることから(→頑張りすぎる医療従事者ほど心が削れる理由|あなたが弱いんじゃない、構造の問題です|かる~くブログ)。環境は、そのあとでも間に合います。
ただし、すでに眠れない・食べられない状態が続いているなら、記事を読むより先に医療機関へ。同じ医療職として、自分のことは後回しにしがちなのは分かります。それでも、です。
③勤務の状況が大きいとき
まだ、打てる手が残っている可能性があります。
時間や業務量の問題は、伝え方や工夫で動くことがあります。実際に私も、担当人数について相談したことで調整してもらえた経験があります。
このブログでは「環境の模様替え」についても伝えています(→無理にポジティブにならなくていい|医療従事者の心がもっと疲れる”前向き思考”の落とし穴|かる~くブログ)。
期限を決めて試してみて、それでも動かなければ、それは次の段階の話になります。
④職場の構造が大きいとき
個人の努力では動かしにくい領域です。
裁量がない、相談先がない、伝えても反映されない、何年も変わらない。これらは、あなたの頑張りとは別の場所で決まっていることです。まずは何が変えられて何が変えられないのか、仕分けから始めてください(→頑張りすぎる医療従事者ほど心が削れる理由|あなたが弱いんじゃない、構造の問題です|かる~くブログ)。
仕分けた結果「変えられない」が並んだなら、環境そのものを選び直す話になります(→転職を“選ぶ”という考え方|次の職場を見極める3つの問いと、動く前に整えるもの|かる~くブログ)。
③④の両方が大きいとき
もっとも注意して見てほしい形です。
業務の負荷が重く、しかもそれを変える手立てが職場にない。この組み合わせは、個人の工夫で改善する余地が小さいことを示しています。
そして、こういう職場ほど「みんな我慢しているから」という空気があります。でも、全員が我慢している状態は、環境が正常だという証明にはなりません。
そして、形に関係なく
□ハラスメントがある
□安全が守られない
□心や体がすでに壊れかけている。
そうした場合は、チェックの結果に関係なく、離れることを最優先にしてください。この記事の順番は、そういう職場にまで我慢を求めるためのものではありません。
明日への一歩|形が示す、次の場所へ
ここまでを、一枚にまとめます。

- 環境による消耗はゆっくり進むので、頭で考えても「まだ大丈夫」しか出てこない
- だから見るのは、体・気持ち・勤務の状況・職場の構造の4方向
- 数ではなく、どの方向に出ているかを見る
- 体と気持ちが大きいなら、環境を考える前に休む
- 勤務の状況が大きいなら、まだ打てる手がある
- 職場の構造が大きいなら、個人の努力では動きにくい領域
明日への一歩は、チェックの結果を、そのまま持ち歩くことです。
グラフの形をスクリーンショットで残しておいてください。そして1ヶ月後、もう一度同じチェックをしてみる。形が変わっていれば、何かが動いたということ。変わっていなければ、それも大事な情報です。
一度の結果より、変化のほうが多くを語ります。
環境は、逃げる先ではなく、選ぶもの。
見極める道具は、もうあなたの手の中にあります。
この章では今後、それぞれの状況に応じた解決方法を深掘っていきます。伝え方に悩んでいる人へ、異動を考えている人へ、転職の準備を始めた人へ。あなたに必要なところから、読んでみてください。
このチェックは、医療現場での実感をもとに作成したもので、医学的に検証された診断ツールではありません。軸の枠組みは、厚生労働省の『労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト』(自覚症状/勤務の状況)および『職業性ストレス簡易調査票』(仕事のストレス要因/心身のストレス反応/周囲のサポート)を参考にしています。ご自身の状態をより正確に把握したい方は、下記の公的なチェックをご利用ください。
・労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(中央労働災害防止協会)https://www.jaish.gr.jp/td_chk/tdchk_e_index.html
・働く人の過労徴候度セルフチェック(こころの耳/厚生労働省)https://kokoro.mhlw.go.jp/check-overwork
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